経営コラム

なぜ日本はバカンスが取れないのか?「日本の生産性の動向 2015年版」で読みとく経営上の課題

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バカンス中でも、生産性が高い?

八月も中盤を過ぎ、お盆休みが終わりました。休んだ身体にエンジンを再び点火して、仕事に精を出されている方も多いのではないでしょうか。

さて、一方で海外に目を向けてみるとヨーロッパの多くの国はまだ「バカンス休暇中」です。1か月〜2ヶ月ほどの長い休みを過ごしている最中。「そんなに長い期間も、会社を空けて大丈夫なの?」と経営者であれば考えてしまうのではないでしょうか。

「バカンスを取る」ことは文化的な違いだけでなく、バカンスを許すだけの生産性を確保していることでもあります。

実は、驚くことにバカンスを満喫している各国の労働生産性は、日本よりも高い水準にあります。裏を返せば、これだけ先進国になった日本の労働生産性は、国際的な基準で見れば、まだ驚くほど低いのです。

一体どのくらいの差があるのか、公益財団法人日本生産性本部がまとめた「日本の生産性の動向2015年版」のデータをもとに見ていきましょう。

1.労働生産性ランキング、日本は?

主要先進34か国で構成されるOECD(経済協力開発機構)の中で、日本の労働生産性は34か国中21位(公益財団法人日本生産性本部調べ)。一方、現在バカンス期間の欧米諸国を見ていくと、

 アメリカ→4位
フランス→7位
イタリア→10位
ドイツ→12位
日本→21位

と、日本の労働生産性と大きな開きがあります。

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(OECD加盟諸国の労働生産性、日本の生産性の動向2015年版

主要先進7か国中(アメリカ・イギリス・カナダ・フランス・ドイツ・イタリア・日本)では7位と先進国最下位と不名誉な順位です。OECD諸国の平均も下回っています。

2.一時間当たりの生産性は米国の約6o%だけ

一時間当たりの生産性で見ていくと、日本は41.3ドル(4,349円)となっており米国の66.3ドル(6,981円)の約60%という数字です。主要先進7か国の中では最下位であり、OECD加盟国中21位という順位は1990年代からあまり変わっていません。

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(OECD加盟諸国の時間当たり労働生産性、日本の生産性の動向2015年版

また、平均年間労働時間は1,729時間(2014年)とOECD加盟国の平均時間の1,770時間を少し下回っているようですが、欧米諸国は平均年間労働時間が1,300~1,500時間と日本よりも低く、日本の労働生産性は低いと言わざるを得ません。

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(各国平均年間労働時間、OECD

細かくて読み取りづらいですが、1位のドイツ(1370時間)で、359時間以上差があります。ドイツと比べて、年間で14日以上も仕事をしている計算です。

3.日本の生産生をあげるために

数字からもわかることですが、日本のホワイトカラー生産性が低いことは明らかです。しかし、その理由は一体どこにあるのでしょうか?そこで次章から主な理由を3つご紹介します。

3-1.「長時間働いた人が偉い」という価値観をやめる

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日本では「汗水流して働くことが尊い」という労働観が根強く「どれだけ長時間働いたか」という事が好かれます。その結果、要領の悪い仕事の進め方をする人を多く生み出すことにつながります。

長く働くことは悪いことではありませんが、生産性を上げる工夫がないことは大きな問題です。そういった長時間労働が好かれる文化の会社では、若いうちから仕事を効率的に行う習慣がつきにくく「職場に長く残る→経営者が頑張っていると褒める→長く働くことが尊い」という悪循環が知らず知らずのうちに生じています。

重要なのは成果であり、より効率的に成果を出すための工夫です。

アメリカやドイツでは「ホワイトカラーエグゼンプション」という制度が導入されており、働いた時間ではなく成果で評価されるという体制が整っています。この制度ではホワイトカラーに限り、労働法上の規制を免除もしくは緩和が行われます。

まずは「労働時間より成果を重視する文化」に変えていくことから始めていきましょう。

3-2. 成果だけでなく「生産性」にも着目する

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先ほど「成果を出すことが重要」とお伝えしましたが、成果を出していても「毎日遅くまで残業している」「残業代が成果を相殺してしまい利益が出ていない」のであれば、意味がありません。経営者は、従業員の生産性についても考える必要性があります。

アメリカの企業ではITツールを使用して従業員の活動データを収集し、経営に活かしています。

例えば、営業の現場ではSFA(営業支援システム)を使用することで、従業員がどのように働いているのか、何に時間を割いているのかを見える化します。

過去記事:乗り遅れるとマズイ?営業支援システム(SFA)導入で営業が進化する4つの理由

取得したデータをもとに改善点を指摘し、ビジネスを効率的に進めていきます。従業員が何にどれだけ時間を費やし、どのように働いているのかというデータを蓄積しておくと以下のようなメリットが生まれます。

 ・部下の仕事の進め方に対して、上司が適切なアドバイスができる
・営業活動が資産化されて「ベスト・プラクティス」がつくれる
 ・新メンバーが入った時の引き継ぎも簡単にできる

「生産性」に着目すれば、次に打つべき選択肢がたくさん見えてきます。どこに無駄があったのか、どこを改善すべきなのか、見直しを図ることが経営全体を最適化していきます。

3-3.最先端のテクノロジーをもっと積極的に導入する

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最先端のテクノロジーを活用し、従業員の生産性を上げることは現代のビジネスシーンにおいては必要不可欠といっても過言ではありません。しかし、そういった技術の活用に消極的な企業が日本に多いのも事実です。

使えるものを使わない状況は、生産性を上げる機会を見過ごしてしまっているとも言えます。実際に「過去記事:中小企業白書(2016版)のデータから見る 黒字会社が取り組んでいる3つのこと」でもご紹介した通り、稼げる中小企業・ベンチャー企業では最先端のテクノロジーの導入に積極的です。

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今や数多くのITツールが世に送り出されており、無料で使えるものも多いです。導入事例として、例えばGoogle DriveやDropboxなどのオンラインストレージを利用すれば、どこからでもデータにアクセスでき、従業員間のデータ共有・管理を容易にします。
Slackのようなコラボレーションツールを使用すると、社内のコミュニケーション活性化、他ツールと連携して仕事のスピードを上げることも可能です。

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中小企業におすすめのITツールを知りたい方は
「過去記事:データ管理を簡単に!無料で使えるオンラインストレージ5選
「過去記事:海外のITベンチャーでほぼ必ず導入されている最新Webツール4選
「過去記事:タスク管理に便利!使いやすくて無料のタスク管理ツール5選」へ

終わりに

生産年齢人口が減少していくのは避けられない状況で、従業員1人当たりの生産性を上げることはすべての企業の課題となります。これまでご紹介してきたように日本人ホワイトカラーの生産性は低い水準にありますが、裏返せば伸びしろが残されているとも考えられます。

従業員の働き方に関するデータの蓄積および活用、ITツールの導入など生産性を上げる糸口は一つではありません。各企業に合ったやり方があると思います。まずはあなたの企業で何ができるのか見直しを図ってみてはいかがでしょうか?

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