経営者インタビュー

“あなたの会社も急成長できる” ―『プラットフォーム戦略』平野敦士カール氏が語る 小さな会社の成長戦略

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楽天やamazon、Airbnbなど、急成長した会社に共通の戦略である「プラットフォーム戦略®」。複数の関係する人やグループが交流や売買をする「場」を作るビジネスモデルで、若くして億万長者になった人の共通の戦略と言われている。

そんなプラットフォーム戦略®だが、「大手企業にしかできないから、自分の会社には関係ない」と思っている経営者も多いのではないか。実はプラットフォーム戦略®は、小さな会社でも実現出来る、あなたの会社を急成長させる戦略なのだ。

今回は、ハーバード・ビジネス・スクールや早稲田ビジネススクール(MBA)ほか多くの経営者にプラットフォーム戦略®を教授している経営コンサルタントで社団法人プラットフォーム戦略協会代表理事の平野敦士カール氏をゲストに招き、「小さな企業だからこそ実現できる、プラットフォーム戦略®を生かした成長戦略」と題し、についてお話を伺った。

※プラットフォーム戦略®は株式会社ネットストラテジーの登録商標です。

お話を伺った方

人物紹介:平野敦士カール
株式会社ネットストラテジー代表取締役社長
社団法人プラットフォーム戦略協会代表理事
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東京大学経済学部卒業。日本興業銀行、NTTドコモiモード企画部担当部長を経て2007年ハーバードビジネススクールHagiu准教授とコンサルティング&研修会社㈱ネットストラテジーを創業し社長に就任。米国イリノイ州生まれ。ハーバードビジネススクール招待講師、早稲田MBA非常勤講師、BBT大学教授、楽天オークション取締役、タワーレコード取締役 ドコモ・ドットコム取締役を歴任。米国・中国・韓国・シンガポール他海外での講演多数。
著書に『プラットフォーム戦略』(東洋経済新報社)、「ビジネスモデル超入門」(ディスカヴァー21)『新・プラットフォーム思考』『シリーズ 経営戦略・ビジネスモデル・マーケティング・金融・ファイナンス』(朝日新聞出版)など多数。韓国台湾中国タイなど海外でも翻訳出版されている。

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1.プラットフォーム戦略®に成功した会社の多くは小さな企業だった!

platform4― 平野さんは小さな会社の成長戦略としてプラットフォーム戦略®を勧められていますが、なぜ今プラットフォーム戦略®が重要なのでしょうか?

平野敦士カール(以下平野)- いくつか理由があるのですが、特に重要なのは、スマホの普及によって誰もがインターネットやソーシャルメディアを通じて繋がる時代になったことで、ネットワーク効果のひとつでもある口コミが生じやすくなった結果、プラットフォーム戦略®が成功しやすくなったという理由です。

例えば、昔は誰も知らなかったような、ビルの4階にあるようなレストランでも、現在では、食べログ(プラットフォーム)で評価が広がると、大手のレストランに負けないくらいに集客ができるようになりました。

ネットワーク効果の仕組みがプラットフォームの拡大と成功にとっては重要なのですが、ソーシャルメディアなどのITインフラが整備されたことで、情報が広がりやすくなりました。そのため、プラットフォームが拡大・成功しやすくなり、プラットフォーム戦略®が注目を浴びるようになりました。

― 人材や資源が限られている小さな会社でも、プラットフォーム戦略®を取り入れることができるのでしょうか?

平野- 小さな会社でもプラットフォームを作ることは可能です。最近注目を浴びているInstagramは、写真を加工編集、シェアするソーシャルネットワーク型アプリのプラットフォームですが、元々たった13人で始めた会社で、マーケターもいませんでした。しかし、2年後にはFacebookに約1000億円で買収されるほど急成長しました。プラットフォーム戦略®を取ることで、小さな会社でも急成長することができますし、私は、プラットフォーム戦略®は大企業より小さな企業に向いている戦略だと思います。

― プラットフォーム戦略®は「大企業より小さな企業に向いている」というと?

平野- ソーシャルメディアには炎上のリスクもあるので、大企業だとなかなかスピーディーに思い切って実行しにくいということです。

口コミを波及させるソーシャルメディアがプラットフォームには欠かせないとお伝えしましたが、ソーシャルメディアには炎上やクレームといったリスクもあります。

小さな会社の方が、リスクを取ってソーシャルメディアを活用できる、という点で、プラットフォーム戦略®は小さな企業に向いていると思います。

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2.急成長したプラットフォームに共通する3つのポイント

― 小さな会社が、急成長するプラットフォームを構築するためのポイントを教えてください。

平野- ポイントは3つあります。「プラットフォームの存在価値を明確にすること」、「顧客の交流が活発であること」、「プラットフォームのクオリティを一定以上に保つこと」、この3点です。

まず、プラットフォームの存在価値とは、ユーザーがそのプラットフォームを使うメリットのことです。「現在お金を払っているサービスの、不満や欠点を解決するプラットフォーム」というものが、存在価値が明確で急成長しやすいプラットフォームだと思います。

― 「現在お金を払っているサービスの、不満や欠点を解決するプラットフォーム」というと、例えばどのようなプラットフォームがあるのでしょうか?

平野- 例えば、アメリカ発の自動車配車アプリのUberは、アプリ上にクレジットカード番号を登録すると、アプリを開いて地図をタップするだけで、近くにいる契約ドライバーが駆けつけてくれるという画期的なサービスです。簡単な書類審査に通れば誰もがドライバーになれるため、ドライバーは空いている車や時間を有効活用できるようになり、世界中で大流行しています。

このUberは、タクシーへの不満を解決したアプリです。なかなかタクシーが捕まらなかったり、接客が悪かったり、海外では規定外の料金を請求されたり。しかし、不満を感じても、人々はタクシーにお金を払い続けていました。Uberなら、呼べば5分以内で車が来る上、クレジットカード払いなので値段も規定金額ですし、ドライバーと乗客がお互いを評価し合うので、接客も比較的良いものです。

このように、「現在お金を払っているサービスの、不満や欠点を解決するプラットフォーム」という切り口で、プラットフォームの存在価値を明確にすることがポイントです。

― 二番目のポイントの「顧客の交流を活発にする」について具体的に教えてください。

平野- 「お客様同士の交流を活発にする」ということですが、これは口コミを利用することで、自分で商品の宣伝をしなくても、顧客が商品の宣伝をしてくれる仕組みを作るということです。例えば、食べログで高評価を得たレストランのオーナーは、進んで食べログの宣伝をするようになります。口コミ効果は、プラットフォームを大きくするために重要なポイントです。ただしその口コミに信頼性があることが前提になります。

― プラットフォームが大きくなると、プラットフォームの質を守ることが重要になりそうです。

平野- そうですね。プラットフォーム上に様々な人が集まると、クオリティが落ちてしまいがちです。プラットフォームの拡大と質の担保を上手く調整しながら運営することが、気をつけなければいけないのが三番目のポイントです。

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3.明日からできる! 儲かるプラットフォームの作り方

― 経営者の方はどのようにプラットフォームを構築すればいいのでしょうか。プロセスを教えてください。

平野- 0から作る場合と、自社の既存のビジネスを利用する場合があります。

0から作る場合のことを「需要サイドからの構築」と呼んでいます。需要サイドから構築する場合、人々が抱えている問題を、今は使っていない資産を使って解決できないか?と考えることがポイントです。

例えば、Airbnbでは空き部屋を使って民泊の新しい形を作りました。最近ではAirPnPという、空いているトイレをシェアリングするサービスもアメリカでありますし、空いているスペースを貸し出して誰でもお店が開けるサービスを展開している会社も人気です。

このように、人々が抱えている問題を解決するために何か利用できないか、という切り口でプラットフォームを構築できます。

 ― 既存のサービスを利用してプラットフォームを作る場合はいかがでしょう?

平野- 既存のサービスを利用する場合、「供給サイドからの構築」と呼んでいますが、自社のバリューチェーンの一部を他社に公開することで、プラットフォームを構築できます。

例えば、Facebookは、ゲーム開発会社にAPIを公開し、友達を誘って遊ぶゲームというコンテンツを集めるようにしたことでプラットフォームが急成長しました。また、AWS(Amazon Web Service)は、元々社内のみで使っていたものを公開し、他社も安価にサーバーを利用できるようにしたことで成功しました。

社内に眠っている資産やサービスで、何か使っていないものはないかと見直し、あればそれをオープン化することで、すぐにプラットフォームを構築することができます。

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4.オウンドメディアの立ち上げがプラットフォーム戦略®へのファーストステップ

― 「今からプラットフォームなんて作れない」という小さな企業の経営者さんも多くいらっしゃると思います。0からプラットフォームを構築せずに、プラットフォーム戦略®の一部を利用することもできるのでしょうか?

平野-コンテンツマーケティングにプラットフォーム戦略®を取り入れることで、プラットフォーム戦略®の良いとこ取りができます。

コンテンツマーケティングとは、オウンドメディアや店舗メルマガ、ブログなどの自社メディアを作り、ユーザーにとって価値のあるコンテンツを提供し続けることで、顧客にファンになってもらう、というマーケティング手法です。

プラットフォーム戦略®をどのようにコンテンツマーケティングに取り入れるかというと、自社メディアで発信しているコンテンツを他社やユーザーに書いてもらうことで、自社メディアを簡単にプラットフォームにできます。

例えば、もしあなたがダイエット用品を売っているのなら、ダイエットに成功したユーザーにコンテンツを書いてもらうことで、自社メディアが、ダイエットに成功した人とダイエットに取り組む人を繋げるプラットフォームになります。こうすると口コミが波及し、自社メディアを拡大させることができます。

― ファーストステップとして、オウンドメディアを持つことが重要なのですね。プラットフォーム戦略®を生かしたオウンドメディアを作るためのポイントを教えて下さい。

平野- 自社の商品やサービスを購入しそうなターゲットに対して、価値のある情報を提供し続けることが重要です。

モノが売れなくなっている時代、オウンドメディアを構築してコンテンツマーケティングに取り組むのは良いのですが、間違いだらけのコンテンツマーケティングを行っている会社が多いです。例えば、一時のバズを起こすために、感動する動画やかわいい猫の画像をメディア上で配信している企業もあります。それでは、その会社が何を売っている会社なのか、読者は理解できません。

重要なのは、「自社の商品を購入しそうなターゲットを明確にすること」、「コンテンンツがターゲットの問題を解決できるものになっているか」、という2点です。あなたの会社の商品を買ってくれそうなユーザーにとって、面白くてためになる、悩みを解決してくれるコンテンツを常に提供し続けることで、顧客はあなたの会社や商品のファンになってくれるので、長期的な利益を生むことができると思います。 

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5.プラットフォーム戦略®に必要な経営者の視点

 ― お話を聞いていると、プラットフォームを作るために、経営者にはこれまでと違った視点が求められているように感じます。

平野- そうですね。特に、10年先を読みながら戦略を立てる、戦略的思考が必要だと思います。プラットフォームを作る上では特に、アルゴリズムをどのように作るのかという視点が、重要です。

アルゴリズムというのは、顧客が一番求めているものと顧客を効率的にマッチングさせる、ということです。例えば、町の魚屋さんでは、常連のお客さんにオススメの魚を教えてあげられますよね。今後は、Eコマースの世界でも、顧客が求めているものと顧客をマッチさせることが重要になってくると思います。

現在AIやビッグデータなどが話題ですが、これらも全てアルゴリズムを作るためのものだと思います。新しいツールも踏まえながら、顧客と商品を効率的に結びつけるアルゴリズムを、今後10年間、あなたの会社でどのように作るのかという視点が、プラットフォーム戦略®には非常に重要だと考えています。

平野さん、ありがとうございました。

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