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はじめに

自社が取り扱う商品・サービスについて、売上を伸ばすためにさまざまな活動に取り組んでいることと思います。しかし、その過程で培われた経験、ノウハウは共有できているでしょうか。まだできていない方もいるかも知れませんし、共有することの難しさを感じ、「自分がもう1人いれば・・・」と思っている方もいらっしゃることでしょう。

今回の記事では、ナレッジマネジメントによって、どうやって知識が伝達され、みんなで知識を共有することができるのか、またなぜ知識を共有する必要があるのかについて2回に分けて分かりやすく解説していきます。今回はその第1回目です。

ナレッジマネジメントとは

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ナレッジマネジメントとは、企業がその企業ならではの知識を創り出すためにどのようにして知識を共有、伝達していくかという観点からのマネジメントのことを言います。企業の製品・サービス開発や戦略策定など企業活動全般において、ナレッジマネジメントは切っても切り離せない、大事な要素であると言えます。また、ナレッジマネジメントにおいては暗黙知と形式知という、知識について2つの考え方があります。

・暗黙知=経験や勘に基づく知識のことで、言葉などで表現が難しいもの

・形式知=言葉などで表現することができる、形式化された知識

と表現され、暗黙知と形式知は正反対のものであるために暗黙知を形式知に、形式知を暗黙知にするのが難しいのです。電話一本の取り方にしても、個人差があるのは各個人がそれぞれで暗黙知を形成しており、それが形式知として完全に伝わっていないからなのです。

以下では、知識がどのように伝達されていくかについて、まずは松下電器のホームベーカリーの分かりやすい成功事例をご覧いただきましょう。

松下電器のホームベーカリー

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「1985年、大阪にある松下電器の製品開発者たちは、新しいホームベーカリー(家庭用自動パン焼き器)の開発に懸命になっていた。しかし、彼らは機械に正しく小麦粉を練らせることに苦労していた。その努力にもかかわらず、パンの内側が仕上がらないうちに外皮が焼け過ぎてしまうのだった。担当者たちは、何が問題なのかを徹底的に分析した。彼らはX線を当てて、機会による練り粉と専門家の練り粉とを比べたりもした。それでも、ヒントとなるようなデータは何ひとつ得られなかった。

 そのようなとき、ソフトウェア開発担当の田中郁子氏がある提案をした。それはとても創造的なものだった。『大阪国際ホテルのパン作りは大阪で一番という定評だ。これをモデルにしてはどうだろうか。』

 田中氏は同ホテルのパン職人頭の下で“練り”の技術を研究するために訓練を受けた。彼女はパン職人が独特の方法で練子を引き延ばしている様子をつぶさに観察した。1年の試行錯誤の後、プロジェクト・チームのエンジニアと緊密に作業を進めた田中氏は、機械内部の特殊なリブを追加するなど、新たな製品仕様を作りこみ、パン職人の伸ばしの技術と、彼女がホテルで学んだパンの品質を再現することに成功した

 結果として、松下電器はユニークな『中メン(引っ張るような練り)』を編み出し、キッチン家電の新製品としては新記録となる売上げを初年度で達成したのだった。」

 どうでしたか?今では当然のように家庭でも焼き立てでおいしいパンが作れますが、その裏にはこのようなやり取りや苦労があったことが分かりました。

この事例を基に、ナレッジマネジメントの4つの切り口から、どのように知識が伝達されて社内での知識創造へとつながっていくかを以下で見ていきましょう。

ナレッジマネジメント4つの切り口:①共同化

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共同化(暗黙知から暗黙知を創造する)

共同化というのは、経験を共有することによって、暗黙知を共有するプロセスです。今回の事例で言えば、田中氏がパン職人頭のもとで観察し、模倣し、練習するという実体験による学習プロセスを通して知識を得るプロセスのことを言います。

 パン職人頭の経験や勘に基づくパン作りに関する「暗黙知」を、田中氏が実体験によって体得し、田中氏自身の「暗黙知」へとしたことで暗黙知から暗黙知を創造したと言えるわけです。

 しかし、「共同化」は知識創造のプロセスとしては少々限定的です。なぜなら、他人の暗黙知を完全に体得することはできず、そしてそれは今まで知識として体系化されてこなかった、つまり他人には完全に模倣されなかったからこそ暗黙知だったのです。

ホームベーカリーの例で言えば、パン職人頭のパンが大阪で一番という評判になったのは、だれにも真似されないパンを作り上げ、かつ真似されていなかったこそ大阪で一番であったということです。

 というわけで共同化に関しては、上司が直接部下に指導するという形で今までも行われてきたことでしょう。次の「表出化」ではどのように暗黙知を他人に伝えるかということについて見ていきます。

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目次

  1. はじめに
  2. 数千社の経営を見てきた専門家が考える「経営が上手くいかない最大の原因」
  3. 優秀な経営者は気づくけど、なかなか実行できない10のこと
  4. あなたの会社の生産性が上がらない2つの理由
  5. システムを導入すべき理由と7つのチェックポイント
  6. おわりに